言霊理論について「だいたいは、あっている」と言っていた言霊主義者がいた。
けど、その言霊主義者は、普段は、言霊理論なんて無視して生活しているのだ。たとえば、アイスがとけるのは、あたりまえだと思っている。
言霊は、まったく関係がないのである。
「アイスがとける」と言ったから、アイスがとけたわけではない。
夏の暑い日、アイスを買ってきた。これだって、アイスなんて、「アイスが出てくる」と言えば、アイスが出てくるのだ。
言霊主義者が、「アイスが出てくる」と言ったとする。それなのに、アイスが出てこなかったとする。
そうしたら、言霊主義者は……『言霊理論が正しくないのではないか』と思わなければならないはずだ。
ところが、『アイスが出てくると言ったって、アイスが出てくるわけじゃない』と考えているから、疑問にも思わないのだ。
人には……「言えば、言ったことが(言霊の力によって)現実化する」と言っているけど、アイスを手に入れるときは、アイスを売っているところで、アイスを買うのである。
アイスを売っているところというのは、一般的には、コンビニとか、スーパーとかといったところだ。アイスの自動販売機もあるので、アイスの自動販売機が近くにあるところに住んでいれば、アイスの自動販売機で買うこともできる。
ともかく、言霊の力を使って、アイスを出そうとはしないのだ。
これは、おかしな話だ。
ところが、「言ったって、出てくるわけじゃない」と考える言霊主義者が、言っても出てこないことを、おかしなことだと思わないのだ。
まあ、お菓子だって、出てくるよ。
「お菓子が出てくる」と言えば、言っただけで、お菓子が出てくるはずなのである。
出てこなかったら、言霊理論が間違っているということだ。
言霊理論が間違っているということに、気がつかなければならない。
ところが、言霊主義者は、言霊理論が間違っているということに、気がつかないのである。
* * *
アイスを冷蔵庫の冷凍室に入れたとする。以降、冷凍室ということにする。
その場合、言霊主義者は、冷凍室のなかに入れれば、アイスはとけないと思っているのである。
言霊が関係しているかというと、ぜんぜん関係していないのである。
言霊なんて関係なしに「とけない」と思っているのである。
「アイスはとけない」と言えば、言っただけで、冷凍室に入れなくても、アイスはとけないのである。
冷凍室にいれるとき「冷凍室にいれると、アイスはとけない」と言ったかというと、言わなかったのである。
しかし、ここで重要なのは、「冷凍室にいれると、アイスはとけない」と言霊主義者が言わなかったことなのである。
言えば、言ったことが現実化するので、アイスをとけないようにするには、「冷凍室にいれると、アイスはとけない」と言わなければならないのだ。
ところが、言わない。
どうしてか?
どうしてかというと、言霊の力なんて、ぜんぜん信じていないからだ。言霊の力なんて、ぜんぜん信じていないから「冷凍室にいれるとアイスはとけない」と言わない。
冷蔵庫には、熱交換器がついている。熱交換器をちゃんと機能させるには、電気(の力)が必要なのである。
言霊主義者も、冷蔵庫は電気で作動していると思っているのだ。
冷蔵庫は、言霊(の力)で作動しているわけではなくて、電気の力で作動しているのだ。
ちゃんと、本人が、原理を知っていることについては、現実的なことを考えるのである。
現実的なことを考えているときは、一切合切、言霊的な思考をしないのである。
ところが、言霊主義者は、いつも、自分が言霊思考をしているような感覚をもっている。
だから、「だいたい、正しい」と言うのだ。
「だいたいのことは、言霊で説明がつく」と思っているのだ。
ところが、普段は、言霊なんて、まったく意識しないで生活しているのだ。
言霊主義者は、自分自身が、言霊なんてぜんぜん信じていないことに、気がつかない。ぬけぬけ、なのである。ボロボロなのである。
言霊に意識が集中していないときは、「言霊なんてあるわけがない」と思って暮らしているのである。と言うのは、「言霊なんてあるわけがない」と思っている人の普段の態度と、言霊主義者の普段の態度は、おなじなのである。
どれだけ「言霊は絶対だ」などと言っていても、普段は言霊なんて、無視しきって暮らしているのである。そして、言霊主義者自体が、そのことに、まったく気がつかないのである。