まだ、眠れない。入試前日のようになってしまった。長期ヘビメタ騒音のことを、だれも知らない。ほんとうのことを知っているのは、ぼくだけだ。だって、聞いていないわけだし、体に影響があったわけでもない。これ、入試の前日のような状態だ。眠れない。
あーあ。こういう日が、何千日も、何万日も続いた。そりゃ、たいていのことが無理になる。きちがいヘビメタが鳴っていなければ、簡単にできたいろいろなことが、どうしても、どうしても、できなくなる。人が寝ているあいだ、ぼくが、くるしむことになる。きちがい兄貴は、無表情なまま、きちがいヘビメタを鳴らし続けた。そりゃ、今の時間……たとえば、午前4時15分……きちがい兄貴は、眠っている。あの当時、ずっと鳴らしておいて、眠ってしまう。俺は、きちがいヘビメタの影響で、くるしみながら起きているのである。こんなの、ない。こういうことの連続だった。そりゃ、日中うまくいかなくなるだろう。
この気分。この無駄な時間。この不安な時間。きちがいは、高いびきだ。原因をつくったきちがい兄貴は、思いっきり鳴らしたので、ストレスなく眠れる。こっちは、やられ続けて、真剣が爆発していて眠れない。けど、よその人たちは「そんなのは関係がない」と言う。入試前日なら、試験のことが気になって眠れなかったのだろうと思うわけだ。実際、試験のことは気になった。けど、それは、ちがうんだよ。ヘビメタ騒音で眠れないし起きれないから、試験のことが気になるのである。もし、入学試験日の3年前から、ずっときちがい兄貴が鳴らさずに、俺が普通に暮らしていたなら、そういうことにはならなかった。そりゃ、自殺をしたくもなる。きちがい兄貴が……等のきちがい兄貴が……張本人のきちがい兄貴が……まったく気にしないで、ぐっすり眠っているとき、俺は、きちがい兄貴の愚行によって、起きているのである。起こされているのである。そして、それをだれも、理解してくれないのである。
みんな本当に、不可避的にそうなるということを認めない。何時間も騒音を浴びていたら、鳴り終わったあとも、影響が出るのに、それがわからない。そして、「うるさかったんだろ」「そんなのはわかっている」と言う。そういうレベルの理解だ。経験がないから、ほんとうは、どういうことになるのか、まったくわかっていないのである。
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100年後にはみんな死んでいる……。だから、気にすることはない……。このように言う人たちがいる。たしかに、100年後にはみんな死んでいると思う。しかし、それじゃ、すまないのだ。小6、中学1年生、中学2年生、中学3年生、高校1年生、高校2年生、高校3年生、毎日やられて、毎日、俺が午前4時50分あたりまで起きていた。 これがどういうことなのかわかっていない。「眠れないと、あせる気持ち」がどういうものなのかわかっていない。きちがいヘビメタで不可避的にそうなってしまうのに、自己責任だと言われる時の悔しさがわかっていない。おまえらだって、きらいな音で、おなじことをされたら、眠れなくなる。それがわかっていない。自分は、なにを爆音で聞かされても、眠れるつもりなのだ。経験がないからわかっていないだけだろ。