こいつらだって、毎日、自分の嫌いな音を、あれだけの時間の長さ、あれだけの期間の長さ、聞かされ続ければ、働けないからだになるのに……。そういうことが、人生のなかで生じなかった人たちが、俺のことを、自動的に悪い人間だと考えるのだ。どうしてかというと、たとえば、「無職」に対して偏見をもっている人は、エイリが無職であるということを知れば、エイリは無職であるという認識をもって、エイリにむかってくるのである。だから、自動的に、わるい態度で、むかってくるということになる。「引きこもり」についてもおなじだ。はたして、自分がおなじことをやられて、普通に働けると思うのか? 普通に働けると思っているなら、それこそ、考えがあますぎる。こういうやつらがあまいやつらだ。こいつらは、たとえば、無職の人間は、あまえていると言うけど、こういうやつらが、あまえているやつらなんだよ。そして、こいつらが無職になれば、自分は、働いていたから、無職じゃないと勘違いして、いままでの態度をあらためようとしない。こういうレベルの人間だ。
これがこの世だ。これが、この世の多くの人間のすがただ。