いまの世の中というのは、生まれの格差「下の下」の人に、ひどいことをおしつけるようになっている。魔法的解決法は、その根底をなすものだ。
これ、じつは、つながっている。
生まれの格差を頑固に無視することは、じつは、洗脳プログラムを考えた人が、考えたことだ。魔法的解決法は、生まれの格差を、きれいに、無視する。
ほんとうは、生まれの格差は関係がある。
ところが、魔法的解決方法のなかには、生まれの格差なんて、出てこないのである。だれもが、魔法をつかえるのだから……つまり、魔法的な解決法を実行することができるのだから、問題なんてないのである。
言霊理論は、言ったことが現実化するという理論なので、けっきょのところ、呪文を言えば、その通りになるというところに、いきつく。これは、魔法的な解決法だ。
もちろん、言ったところで現実化しないものは、現実化しない。
言うということに、現実化させる(エネルギー)のようなものがあるかというと、ないのだ。
ところが、言ったことが一〇〇%現実化するという理論が、あたりまえのようにまかりとおる。なんでも、言えば、解決するのだから、まさに、魔法的な解決法だ。そうなると言っている人たちも、じつは、そうならないことを知っている。使いわけているのである。
ほぼ、無意識的に使い分けている。これは、相当にやっかいな問題だ。基本的には、魔法的な解決法は、生まれの格差「下の下」の人をおいつめることになる。
ほんとうは、魔法的解決法なんて、役に立たないのに、役に立つと説得される。役に立たないので、実際にやっても、役に立たない。状況がかわらない。
けど、説得したほうは「役に立つ」と言うのである。
けっきょく、個人の能力の差や、個人の資質の差、あるいは、個人の努力の差に還元されてしまう。
たとえば、言霊的解決方法は、有効な解決方法だとする。
そうなると、個人の言霊能力が問題になってくるのである。使えないと言っている人たちは、言霊能力がないからダメなんだということになってしまうのである。言霊的解決法を、一生懸命努力して使わないからダメなんだということになってしくおのである。
言霊ではわかりにくいかもしれないので、引き寄せで説明しよう。ほんとうは、引き寄せのうょくなんてものはないのに、あたかも、引き寄せ能力の差が、引き寄せられるか引き寄せられないかということを決定しているということになってしまうのである。
引き寄せ的な問題解決方法は、有効だけど、有効に使えない人たちがいるということになってしまうのである。引き寄せ能力がない人たちは、引き寄せ能力がないからダメなのだということになってしまうのである。
さらに、引き寄せ能力をつけるために、いろいろと方法があるのに、そういう方法をこころみないからダメなのだということになってまうのである。
引き寄せ能力を身に着けるための修行しないからダメなのだ。努力をしないからダメなのだということになってしまうのである。けど、引き寄せ能力なんてものはないし、引き寄せ能力を前提にした問題解決方法はまったく役に立たない。けど、役に立つという、頭がおかしい前提をくずさないのである。
絶対に役に立つことになっているのである。
だから、引き寄せ能力がない人たちが悪いということになる。
そして、引き寄せ能力がないにかかわらず、引き寄せ能力をあげようとしない人たちがわるいのだということになってまうのである。引き寄せ能力がないのだから、引き寄せ能力をつけるように努力すればいいのに、努力しないからダメなんだということになってしまうのである。こういう、トリックが成り立っている。
けど、多くの場合、引き寄せ能力の問題ではなくて、生まれの格差の問題なのだ。ここのところを勘違いしている。ところが、生まれの格差「下」のうち、生まれの格差「下の上」や、生まれの格差「下の中」の人は、まさしく、魔法的な解決法にたよらなければならないような状態に追い込まれているのである。
なので、そういう方向で努力してしまう。しかし、努力しても、魔法能力なんてものは身につかない。くるしい状態のまま、暮らすということになる。生まれの格差「中」の人よりも、生まれの格差「下」の人のほうが、切実なんだよ。
生まれの格差「下の下」の人は、ボロボロな状態で「こころみて」死んでいく。生まれの格差「下の上」や、生まれの格差「下の中」の人は、もだえながら、生きていく。生まれの格差「下の下」の人は、はやいうちに、役に立たないということを思い知ることになるけど、生まれの格差「下の上」や、生まれの格差「下の中」の人は……のぞみをつないで……くるしいまま生きているということになる。
この、「のぞみ」というのが、「嘘の」のぞみなのである。支配者階級がつくりだした、まぼろし。
ちなみに、生まれの格差(親)「下の下」だと、親に虐待されてひどい目にあう。その場合、たとえば、トラブルを引き寄せてしまうからダメなんだということになるのである。あるいは、生まれたときに、ひどい親を引き寄せたからダメなんだということになってしまうのである。
親のほうに問題があり、子どもを虐待しなければ気がすまない状態で暮らしていたとする。そうなれば、親は子どもを虐待する。
ところが、引き寄せ理論になると、子どもが「虐待」を引き寄せたからダメなんだということになってしまうのである。子どもは、いいことを引き寄せるに努力すればいいということになってしまうのである。
役に立たない儀式的な引き寄せ方法があるとする。その方法をマスターすればいいのだということになる。マスターしないからダメなんだということになる。引き寄せ能力が低いなら、引き寄せ能力をたかめるように努力すればいいのに、努力しないからダメなんだということになってしまう。こういうしくみが成り立っている。
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生まれの格差「下の上」や、生まれの格差「下の中」の人の場合、役に立たない方法に「しがみついて」「くるしみながら」生活することになるのだけど、それが、わりあい、長くつづく。生まれの格差「下の下」の人は、役に立たない方法に、一時的にしがみつくけど、強烈にくるしい状態で暮らしているので、長くはつづかない。