あー。マサミ君には悪いことをしたなぁ。ほんとうに、ヘビメタ騒音でいっぱいいっぱいで、放送委員として、放送にかかわる機器の使い方を覚える気持ちがなかった。中学のときだなぁ。マサミ君が、風邪で、学校を休んだんだよ。そのとき、俺がほんとうは、放送しなければならなかったのだけど、機械の使い方がわからなくて、給食時間用の放送ができなかった。で、俺は、ほんとうに、きちがいヘビメタ騒音でくたくただった。その日の前日も、眠れなかった。まあ、午前中の睡眠時間ということを考えるなら、その日も眠れなかった。ほんとうに、ぼろっぼろなんだよ。この、ぼろっぼろの状態がほかの人にはわからないんだよな。だから、ヘビメタ騒音のことについて説明しても「なにがヘビメタ騒音だ」と思うことになる。そう思う人の気持ちもわかる。放送委員会の顧問教師が、最初、俺に対して怒ってきたのだけど、マサミ君にも怒ったのだ。ヘビメタ騒音でいっぱいいっぱいなので、放送委員会の顧問教師が俺に怒ってきたときも、俺の対応は、グタグタだった。それで、放送委員会の顧問教師が「おまえがしっかりしないとだめじゃないか」みたいなことを言って、怒った……らしい。その場には、ぼくはいなかった。あとで、マサミ君から聞いた。
ヘビメタ騒音が連日連夜つづくと、いろいろな感覚がおかしくなるんだよ。いろいろな判断がおかしくなる。いろいろなところで、やる気がなくなる。壊滅的にやる気がなくなる。包装にかかわる機器の使い方なんて、ヘビメタ騒音がなければ、簡単に、おぼえられたことだ。普段、マサミ君が全部やってくれたの……。マサミ君にたよりすぎたわけだけど、そもそも、そういう状態が発生しているのは、きちがいヘビメタ騒音の「せい」なの。ヘビメタ騒音が原因で、そうなっているの。ヘビメタ騒音が連日連夜鳴ってなかったら、そうなってないの。そういう状態になってないの。この、ぼろっぼろのぼろぼろぐあいがわからないんだよな。他人には……。連日連夜つづくと、どれだけぼろぼろになるか、わからない。ほんとうに、くるしいんだよ。ほかの人にはわからないと思うけど。
一日目から、本人が、がんばってがんばってがんばって、がんばりきって、そういう状態になっているんだよ。あのころは、数百日目か。放送事件のときは、中学一年生だったから、数百数十数日目だ。
教師に言えばいい……。言ったさ。
「お兄さんに言えばいい」「家族で話し合えばいい」と言われたよ。
「意欲が低下する」とか、そういう上品な言葉では、あらわすことができない状況がある。ほんとう、地獄なんだよ。どれだけがんばってもがんばっても、地獄なんだよ。