努力成功論について書いてきたわけだけど、多くの人は、「そんなことを言ったって、あたえられたカードを使って、努力するしかない」というようなことを思っているのではないかと思う。
ようするに、条件の格差はあるけど、しかたがないので、自分にあたえられた条件のなかで、努力するしかないということだ。
それは、それで、いい。そういう対処のしかたを、ぼくは認める。
けど、ぼくが言いたいのは、それでも、「わくぐみ」にかんして、考えるべきだということだ。現実的な対処として、あたえられたカードを最大限に利用して、自分がなるべくしあわせになることを優先して行動する……ということは、重要だ。
けど、そういうことをしているときも、「わくぐみ」に目をむけなければならないのである。「わくぐみ」を無視すると、この「わくぐみ」が維持されてしまう。この「わくぐみ」は、こわさなければならない。
だから、まあ、ぼくが、ほかの人にもとめていることというのは、「わくぐみ」に目をむけることだ。格差がありすぎる「わくぐみ」はよくないのである。
そのなかで、努力をすると、自分の首をしめて、他人の首をしめることになってしまうのである。そういう「わくぐみ」がある。