たとえば、きちがい親父が、竹を植えようとしたとき、おかあさんが「竹なんて植えたら、たいへんなことになるからやめて」ということを、必死になって言ってたんだよ。
そして、親父が、発狂モードで植えてしまった。
実際に、親父がやったことは、おかあさんが言ったことをガン無視して、おかあさんがいやがっている竹を植えたということだ。
ところが、それがもつ意味がわかっていないのである。
もちろん、竹が実際に、庭のあちこちにはえて、たいへんなことになって、わからないままだ。邪魔な竹を切ってほしいから、「邪魔な竹を切ってくれ」と親父に(おかあさんが)言うと、親父は、また、真っ赤な顔をして無視してしまうのだ。
実際にやってることはこういうことなんだよ。
竹は、成長するので、俺が自転車を出すときは、どれだけ急いでも、蚊に五か所ぐらいは刺されるということになっていた。
さらに、自転車を出すときに、竹が背中にあたるのである。竹が、自転車を出すための道に、しだれかかるようにのびていた。だから、雨がふったあとは、背中に、雨水がついてしまうのである。背中がぬれる。
「自転車を出すための道」というのは、うちの庭の道のことだ。道と書いたけど、庭の一部だ。
きちがい親父に内緒で、勝手に、竹を切ってしまうと、ひどい騒ぎになるので、こっちが勝手に竹を切ることができないのである。
だから、親父に「切ってくれ」と頼むわけだけど、頼むたびに、きちがい親父が発狂して、たいへんなことになってしまうのだ。
基本的に言って、『言われたらいやなことは、言われると腹が立つ』のだ。これは、親父以外の人間もそうだけど、親父は、そういう性格を煮詰めたようなところがある。その割には、「文句を言われそうなことを、いっぱい、やる」のである。
だから、こっちは、言いたくないことを言わなければならなくなるのである。
竹だけではなくて、ほかの木も、そうなのである。親父がうちのなかでやることに関しても、そうなのである。親父がだしっぱなしにしたものを、こっちが片づけてしまうと、たいへんなことになるので、いやなのである。
でっ、俺が小さいときは、主におかあさんが親父に言ってたのだけど、親父は、どんなことでも、言われると、真っ赤な顔をして不機嫌になり、腹を立てていた。
でっ、ちゃんとやってくれるかというと、やってくれないのである。これが、へんなところなのだけど、何十回も言われたから、しかたがなく、木の枝を切るとする。
その場合、親父が切りたい枝しか切らないのである。
だから、邪魔な枝がいつまでも残って、いつも、こっちが不快な思いをしていたのだ。親父がへんな人だから、普通なら絶対に木を植えないようなところにも、木を植えてしまうのである。
「自転車を出すための道」と書いたけど、そこにも、木を植えてしまった。
けど、この木は、背が低い木で、何十年たっても、大きさがほとんどかわらない木なのである。「棟梁さん」が、「幸福の木」とか言っていたけど、不幸の木だ。通り道の真ん中に植えてしまうのである。
本人は、気にしないんだよ。
けど、自転車を出して、門のところまで行くときに、いちいち、邪魔な感じがしていた。注意して、避けなければならない。通りにくいのである。
けど、これも、親父が生きているあいだは、切ることがなかった。移動もしてくれなかった。
へんなところがあって、自分が植えたい気持ちで植えたやつは、親父にとっては、邪魔にならないのだ。
けど、普通の人なら絶対に植えないようなところに、植えてしまう。
で、きちがい兄貴のヘビメタ騒音もまったくおなじなんだよ。まーったくおなじなの。これ、よその人はわからないんだよな。親父は性格としてそうなっているんだよ。毎日、コンスタントにそうする。
兄貴も性格として……「そうなっている」のだよ。
毎日、コンスタントにそうする。
親父の場合は、植物を植えるということで、トラブルを発生させたのだけど、兄貴は、ヘビメタを鳴らすということで、トラブルを発生させたのだ。ほかの家族(当人以外の家族)がどれだけ言っても、親父も兄貴も、まったく気にしないのである。言われたときは、顔を真っ赤にしておこるのである。
発狂モードになってしまう。発狂モードになったときに、相手が言ったことをやるかというと、やってくれないのである。
ところが、「やってやらなかった」ということも、頭にまったく残らないのである。「文句を言っているときの」相手の感情というのは、全部、ほんとうに、無視してしまうのである。
そして、本人たちにとって「やりたいこと」はやりたいことだから、やってしまうのである。頑固に無視して、やってしまう。相手が「やめてくれ」と言ったことを、頑固に頑固に、発狂して、やってしまう。
それは、相手の感情を踏みにじる行為なんだよ。
そして、そのあともやり続けるわけだから、相手は、こまり続けるわけなんだよ。
毎日そうなんだよ。