ほかの人の話は、参考にならないんだよね。ならない。ほかの人たちにはヘビメタ騒音がなかったから、ヘビメタ騒音がない世界の話をしている。ヘビメタ騒音がなかった場合のからだで、生きている。こっちは、ちがう。だから、全部がちがってくる。この全部は、イ・ラショナルなのか、ラショナルなのかわかんねぇな。たぶん、ラショナル。
そりゃ、セミリタイアの話も、アーリーリタイアの話も、ニートの話も引きこもりの話も、無職の話も、ぜんぜん、参考にならない。 まあ、アーリーリタイアは、無職だけどな。ちょっと、二重になっているなぁ。普通の人の話というのは、全部参考にならない。
「そりゃ、そうでしょ」という話をしている。一般的な話。けど、ぼくはちがう。ちがうんだね。一般的な人が、一般的な感覚で、一般的な話をしている。この一般的というのは、「ヘビメタ騒音がなかった」という意味で一般的ということだ。「なかった」のだから、そうなのでしょう。「なかった」からだで生きているのだから、そうなのでしょう……そう思う。
きちがい兄貴の態度なんてわかるわけがない。テスト前に、きちがいヘビメタが何時間も何時間も鳴っているときの、あの、圧力なんて、わかるわけがない。圧力がすごいんだよ。気持ちが、破滅しそうなんだよ。ものすごい、圧力がある。そしてその圧力が、ずっと続く。あんなのやられて、いいわけがないだろ。何回も何回も、怒鳴り込んでいるのに、きちがいがきちがい感覚で、まったく気にしないでやり続ける。きちがい兄貴のきちがい感覚なんて、ほかの人にはまったくわからない。「圧(あつ)」がわからない。どれだけ破滅的な気分になるか、わからない。どれだけ、きちがい兄貴をまるまるしてやりたい気持ちで、椅子に座っているかなんてほかの人にはわからない。すごい気持ちなんだよな。頭を、一秒間に5回ぐらいなぐられている感じだ。ヘビメタの音というのはそういう音なんだよ。あんなの、無視できるわけがないだろ。あの中で勉強をするということは、マイナスなんだよ。勉強をしようとするということだけどな。プラスマイナスゼロじゃなくて、学力的にも、体力的にも、精神的にも、ものすごい、マイナスなの。マイナスで、眠れないまま、次の日、試験会場に行くんだよ。学校に行くんだよ。どれだけこころがくずれるか。「元気だ元気だと言えば元気になる」……ふざけんな。どれだけくるしいか。どれだけ「元気だ元気だ」という言葉が、空虚に響くか。あの気持ちはない。
頭をたたかれている感じなんだよ。音で……。音で脳内をたたかれている感じがする。音で拷問を受けているような感じなんだよ。無視しようとしたって、鳴っているから、無視できないんだよ。これ、そういう状態を経験しないやつが……きちがい家族による騒音を言経験してないやつが……偉そうなことを言う。「無視しようと思えば無視できる」と言う。「大丈夫だと言えば大丈夫だ」と言う。大丈夫じゃないんだよ。無視できないんだよ。