「言えば、言ったことが魔法の力で、現実化する」というのと「言えば、言ったことが言霊の力で、現実化する」というのは、おなじことなんだよ。けど、言霊主義者は、おなじことだと言うことがわからない。どうしてかというと、言霊という言葉にだまされてしまっているからだ。「言霊の力によって現実化する」と「魔法の力によって現実化する」は、おなじことなんだよ。いいかげん、気がつけ。「魔法」という言葉を使うと「そんなのは、おかしい」と言霊主義者は思うのだけど、「言霊」という力を使うと、「ただしい」と言霊主義者は思ってしまう。
「言えば、魔法の力によって、言った通りになる」……と「まじめに」言っている人がいたら、「どうしようかな」と思うだろ。しかも、その理論によって、「こっち」を傷つけている。こまるんだよ。「言えば、魔法の力によって、言った通りになるから、言えばいい」……。「言った通りにならなかったぞ」……。「言った通りになるまで何回でも言えばいい」……。「言った通りにならなかったぞ」……。「こころをこめて言ってないからダメなんだ。こころをこめて言えば、言った通りになる」……。
カルト思考なんだけど、カルト思考だと本人が思ってないんだよね。そりゃ、ビジネス関係の本に、「言霊を使えば、のぞみがかなう」という関係の本が何冊もある状態だからなぁ。ビジネス関係の本というのは、いちおう、大人向けの本なのだけど、大人向けの本なのに、このレベルだ。
「できると言えばできる」とか「言ったことが現実化する」とか、いいかげんにしてくれ。
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言霊の分派としては、「くちぐせ」派がある。あとは、思霊の分派、言霊の分派としては「潜在意識」派がある。くちぐせは、時系列に因果関係を逆転させて、「あとだし思考」をしているだけだから。くちぐせ派が、絶対の意地で無視している条件が問題なんだよ。条件が、そういう「くちぐせ」をうみだしたんだよ。条件が、そういう「くちぐせ」をもたらしたんだよ。条件のほうが理由なんだよ。くちぐせは、結果なんだよ。
「潜在意識」派は、潜在意識というニセ科学タームを使って、それらしく語っているだけだ。こういうレベルだ。「潜在意識」が勝手にやってくれるという場合だって、「条件」は頑固に無視されている。条件を無視するな。
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「自分は魔法が使える。自分は、言霊が使える。自分は、言霊という魔法が使える。言えば、言ったことが現実化する」……と本人が、思ってるぶんにはかまわない。「言えば、いつか現実化する」とごまかして、希望に向かって進むのは、一向にかまわない。
しかし、「言えば、言ったことが現実化する」ということが、「正しいこと」として流通していることには問題がある。言霊理論が正しい理論として、社会に流通していることに関しては、問題がある。問題がある。言霊理論は、正しくないのに、正しいこととして社会に流通している。
そうなると、特に条件が悪い人が、苦労するようになるのである。特に条件が悪い人は、条件によって苦労しているわけだけど、さらに、夜郎自大な言霊主義者に説教をされて、不愉快な経験をすることに「なっている」のである。
いわば、経験をすることになっている。
社会のなかで、多数者が「言霊(理論)は正しい」と思っていると、特に条件が悪い人は、不愉快な思いをするようになっているのである。
言霊主義者というのは、他人の条件について、考えることが「にがて」な人たちなんだよ。
結論としては、言霊主義者が、「言霊(理論)は正しい」「言ったことが現実化する」と考えて、希望にむかって努力することは、別にいい。その人の勝手だ。夢をかなえてくれ。
しかし、それと、他人に対して、それを言うことはちがう。
そして、「言えば、言ったことが現実化する」ということが、「正しいこと」として流通していることには問題がある。