きちがい兄貴は、きちがい的な意地を通して、すべての時間、鳴らしたのに、すべての時間鳴らしていないのと同じ気分でいるんだよ。これがどういうことだか、わかるか? わかるわけがないと思うけど、これがわかっていないやつと、話すと、めちゃくちゃにいや思いをするのである。ぼくが、めちゃくちゃに嫌な思いをする。自分の体験としてわかっている人間なんて、世界で俺だけなんだよ。だから、俺が、ほかの人と話すと、いやな思いをすることになる。自動的にそうなるんだよ。自分が体験していないのに、鋭い感性と高度な推理力で判断できる人を除いて、みんな、わかっていないわけだから、こまる。こいつら……普通の人は、『どれだけ鳴っていたって大した問題じゃない』と思って、自分の意見を言ってくるわけ。『そんなの関係ない』と思って、自分だ正しいと思うことを言ってくるわけ。そうなると俺のことを自動的に侮辱することになるんだよ。こいつらにしてみれば、俺が、さぼっていると思っているわけ。できるのにさぼっていると思っているわけ。けど、ヘビメタ騒音でできないんだよ。この世には「ヘビメタ騒音でできない」ということを、理解せずに、頭がおかしいこと・無理なことを言ってくるやつらがいっぱいいた。
* * *
それから、「い抜き言葉」について、ちょっとだけ書いておく。口語を重視しているので、「い抜き言葉」を使っている。「口語ではそういうふうに言っている」ということを重視する文では、ことわりなく「い抜き言葉」を使うことにしている。「い抜き言葉」は文法的には間違いだけど、逆に「い」を入れて表現すると「しっくりこない」場合があるので、「い抜き言葉」を使う場合がある。