アホな発言で、相手の生きる気力をそぐことができる。たとえば、「かゆいと言うからかゆくなる」という発言だ。
言っているほうは、気分がいいのだろうけど、言われたほうは、「言いようがない」気持ちになる。
このあいだ、蚊がたくさんいる家の話をしたけど、あそこで語ったことが正しい。ようするに、「かゆいと言うからかゆくなる」という発言は、相手の条件を考えていない無礼な発言なのだ。ところが、無礼なことを言ったという気持ちがないわけ。
どうしてかというと、ほんとうに「かゆいと言うからかゆくなる」と「そのときは」思っているからだ。自分が蚊に刺されて、かゆくなった場合は、「蚊に刺されてかゆくなった」と「そのときは」本気で思っているのだ。どっちも、本気で思っている。
相手が「愚痴らしきことを言った」と認識したときは、お得意の言霊理論を使って「かゆいと言うからかゆくなる」と「そのときは」本気で言う。正しいことを言ったと(本人は)思っている。
けど、間違っていることを言ったのだ。
たとえば、「かゆいと言うからかゆくなる」と言われた相手が、自分の条件について言及して「かゆいと言ったからかゆくなったわけではなくて、自分のうちに蚊が多いから、かゆくなる頻度が高くなるだけだ」と言ったって、「かゆいと言うからかゆくなる」と言うやつは、信じない。
「かゆいと言うから、かゆくなる。これが正しい」と言って間違っていることを認めない。
こういうやつは、条件の悪い人を、その発言で……おいこんでいる。おいこんでいるんだよ。
無駄な圧力をかけているんだよ。
ただでも条件が悪くてこまっている人に、妄想的なことを言って、もっとこまらせているんだよ。
かぐらいならともかく、きちがい家族によるきちがい騒音など、問題が深刻な場合は、そういうことを言われると、生きる気力を奪われるのである。ほんとうに、きちがい家族にやられて、世間のバカにやられる状態になる。
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かわいい女の子が、過労で自殺したら、かわいそうだということになる。その会社のことについて、いろいろなことが言われることになる。
言霊主義者まで、かわいい女の子がかわいそうだと言って、上司をせめるようになる。
けど、言霊主義者がやっていることは、上司がやっていることとおなじなんだよ。これも、まったくわかっていないんだよな。
こっちが、言ったって、相手は「むずかしいことを言っているようだけど、簡単なことが正しい」と言って、ゆずらない。ゆずらないんだよ。
そのくせ、別の機会において……「受け止め方をかえればいい」などとほかの人に説教をしているのだ。言霊主義者である人が「受け止め方をかえればいい」などとほかの人に説教をすることがある。
言霊で解決できるのだから、受け止め方をかえる必要なんてない。
条件が悪い人は、条件が悪いことで、なやむ。
どうしてかというと、条件が悪いと、悪い出来事が発生しやすくなるからだ。
けど、精神世界の人や精神世界のことをちょっとかじった普通の人が、アホなことを言って、こまっている人をおいつめるのである。
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かわいい女の子が、上司に、なんらかのことを言ったとき、上司があほな発言をしたのだと思う。そのとき、かわいい女の子が「あーー。この上司になにを言って無駄だ」と思ったのだと思う。
このとき、かわいい女の子は、絶望を感じたのだと思う。絶望とまではいわなくても、失望したのだろう。無理解ぶりを発揮した「アホな発言」は、しばし、相手を失望させる。
何回も何回も、無理解ぶりを発揮した「アホな発言」を返されたら、普通に、失望すると思うなぁ。生きる気力が減る。