言霊主義者というのは、「生き返ると言ったって、死んだ人は、生き返らない」「瞬間移動できると言っても瞬間移動なんて、できるわけがない」ということは、認識している。
けど、「言えば言ったとおりになる」「言えば言ったことが現実化する」と思っているのだ。
なので、矛盾している。
言霊主義者が言霊思考に自信をもっているのは、「言ったあと」に現実化したことを、過大評価しているからだ。
自分が「明日は晴れる」と言ったら晴れた……。こういうことを過大評価している。
記憶に残るのは、こういうことばかりで、自分が「明日は晴れる」と言ったのに、雨がふったということは、記憶に残らない。積極的に無視して、なかったとことにしてしまう。
「言ったあと」に現実化しなかったことは、積極的に無視して、なかったことにしてしまうのだ。
こういう、「現実の無視」がある。
だから、矛盾に気がつかない。
言ったあとに、現実化しなかった場合は、言ったあとに、現実化しなかったのだから「言ったことが現実化する」という理論はまちがっているということになる。そして、普通なら、それに気がつく。
けど、言霊主義者は、矛盾があることは、全部、無視をして、のりきっている。
もちろん、実際には、矛盾を解決してのりきっているわけではないのだけど、時系列的に、そういうことがあったあとも、気がつかないまま生きるということになる。
で、こういう態度は、言っちゃ悪いけど、うちのきちがい兄貴や、うちのきちがい親父と似ている態度なのだ。
もちろん、普通の言霊主義者が感覚器を無視するということはないのだから、問題は小さい。そして、あまたの言霊主義者が、実際にぼくといっしょに住んでいて、かずかずの迷惑行為をしたわけではない。
ようするに、そういうことで、ぼくは、迷惑をうけてない。
うちのきちがい兄貴や、うちのきちがい親父は、はげしく迷惑行為をして、ぼくに迷惑をかけたけど、ぼくといっしょに住んだことがない言霊主義者は、はげしく迷惑行為をして、ぼくに、迷惑をかけたわけではない。
そのちがいがある。
そのちがいは、でかい。
しかし、現実を無視して、矛盾を認めないという態度は、似ているところがあるのだ。