たとえば、ある言霊主義者がいたとする。かりに、Aさんだとする。Aさんは「どの政党に投票するかまよっている」のである。
けど、これもおかしな話だ。
言えば、言ったことが現実化するので、政治家が決めることは、言ってしまえば、それで現実化してしまう。Aさんは、言うだけで、すべての政治的な決定をすることができるのだ。
だって、Aさんは、言うだけで、いかなることも現実させることができるので、言えばいいということになる。
Aさんがある政治家について文句を言っていたとする。文句を言う必要なんてないのだ。自分が、政治家になってしまえばいい。
政治家になるのは簡単だ。
「一秒以内に、自分が政治家になる」と言えば、政治家になれるのである。
「一分以内に、内閣総理大臣になる」と言えば一分以内に、内閣総理大臣になれるのである。
それどころか、「世界皇帝」というものを考えて、自分がその「世界皇帝」になると言えば、言っただけで、「世界皇帝」になれるのだ。「世界皇帝」の権力も、好きに決めることができる。あらゆる政治的決定をすることができるのだ。
それも、「言うだけ」で、あらゆることを決めることができる。
だってそうだろ。
「言えば言ったことが現実化する」のだから……そうなる。
言霊主義者が「あの政治家は、ここが悪い」とか「どの政党に入れるかどうか迷う」とか「自分は、投票をするので、自分の責任ははたしている」とかと言うことは、おかしなことだ。
普段、「言えば、言ったことが現実化する」と言っているけど、実際に自分が国会議員になることを考えると、途端に、現実的なことを考えるようになるのである。「言えば、言ったことが現実化する」のだから、国会議員になるのも簡単だろう。そして、別に、国会議員にならなければ、政治的な決定ができないわけでもない。言えば、言った通りになるのだから、政治的なことも、すべて自分で決めてしまえばいい。言霊にはものすごい力があるのだから、そのくらい、簡単にできる。
「今日から、こういう制度にする」と言ってしまえば、それで、言った通りの制度になる。別に、国会議員になる必要もない。