むかし、アマゾンマーケットプレイスで本を売っていたことがある。そのとき、 アーサーケストラーの『機械の中の幽霊』という本も売った。おカネがなかったので、ほんとうは、売りたくなかったけど、むなしい気持ちで売った。でっ、買ってくれた人がいた。ぼくは、なるべく早く届けてあげようと思って、一駅先の、中央郵便局に、自転車をこいで行った。ほんとうは、そういうことしなくてもよかったのけど、「なるべく早く届けてあげよう」と思ったので、そうした。でっ、その本を買った人が研究者だったわけ。でっ、ちょっとやり取りをしたのだけど、「研究室はどこですか」みたいなことを、その人(購入者)が聴いてきた。それで、ぼくは、ヘビメタ騒音のことや学歴がないことを、話したくなかった。なので、そういう気持ちで返事を書いたのだけど、その人は、自分(その人)が、拒絶されたと思ったんだよなぁ。そりゃ、ヘビメタ騒音のことを話さないと、学歴がない理由というのが、説明できないから、研究者じゃないということを書くなら、ヘビメタ騒音のことも説明しなければならないような気分になった。ともかく、混沌とした気分になるわけよ。わかるかな。ヘビメタ騒音……。ヘビメタ騒音……。一五年間、毎日続いたヘビメタ騒音。俺の学歴と人生を破壊したヘビメタ騒音……。言うに言えない気持ちになった。別に、その人のことを、傷つけるつもりはなかった。ただ、研究者じゃないということと高卒だということを、説明したくなかった。ともかく、まあ、まさか、ああいう反応が返ってくるとは思っていなかったのだけど、ヘビメタ騒音で学歴がないということがあると、いろいろなところで、強烈にむなしい気分を味わうことになるのだ。これ、絶対に、きちがい的な家族が鳴らす騒音に十数年間さらされ続けた人じゃないとわからない。勉強を邪魔され、通勤通学ができない体にされてしまう。「説明したくない」という気持ちになるときがある。
なんか、ぼくが、その人をバカにしたと、その人は思っているみたいなのだけど、言いたくないことを言わないで、あのメールに返事を書くとすると、ああいうメールになってしまうんだよなぁ。ともかく、言いたいのは、「バカにするような意図はなかった」ということだ。
なんか、ヘビメタ騒音で、いろいろと、疑われるんだよね。ときどき、質のいい人が、ぼくにあいたいと言ってくる場合がある。それは、学問的なことではない。けど、「ヘビメタ騒音で学歴がない」「無職だ(当時)」ということを説明したくないので、あわなかったということがある。ときどき、頭のいい人が、ぼくの資質を認めてくれるんだよなぁ。けど、あえない。
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「ぼくが、その人をバカにしたと、その人は思っているみたい(だった)」ということについて、ちょっと説明をしておく。相手にしたくない感じが出ている文章だったわけだ。相手にしたくない理由について、その人が、誤解をしているのである。相手にしたくない理由というのは、ぼくが研究者じゃないからだ。ぼくが、ヘビメタ騒音にやられて、無職だったからだ。これ、ほんとうに、説明したくないときがある。ヘビメタ騒音という理由があると、相手が誤解をしてしまうときがあるんだよね。ぼくとしては、ヘビメタ騒音という理由を隠したいときがある。言いにくいときがある。これ、ほんとうに、言いにくいんだよ。それまでの文脈によっては、言いにくいことになる。
たとえば、その人(実際に研究者である人)が「こんなに、いい人にあえるとは思わなかった。マーケットプレイスっていいな」というようなことを書いてくれたわけ。