きちがいヘビメタにやられて、眠るべき時間に、眠れなくなっているのだけど、明日のことが気になるという状態を経験したことがないやつらに、とやかく言われたくない。ほんとうに、腹が立つ。そして、こういうことが毎日毎日毎日、続くと、ほんとうに、「何時何分に起きなければならない」と思っただけで、ヘビメタ騒音がなくても、眠れなくなってしまうのだ。そして、これは、治らない。この、「なおらない」ということまで、経験したことがない人が、「そんなのは、あまえだ」と言う。「なおらない」ということまで、経験したことがない人が、「そんなのは、関係がない」と言う。これ、ほんとうに、毎日毎日毎日やられると、必然的にそうなるのに、ぜんぜん、わかっていないのだ。たぶん、本人がそういう経験をしたことがないからわかっていないだけだろうと思う。ところが、こいつらがみんな……みんな……みんな……みんな……自分だったら、平気だという前提で、「そんなのは、関係がない」と言うのだ。エイリさんが、騒音に敏感だったから、そうなったという意見とおなじだ。これもちがうのである。ぼくは、普通の人よりも、騒音耐性があった。ぼくは、普通の人よりもずっと、騒音耐性が強かった。そのぼくの、生活を完全に破壊してしまうのが、きちがい兄貴のヘビメタ騒音だったのだ。これ、きちがいとしか言えないしつこさで、ずっと鳴らす。きちがい的な頑固さで、鳴らす。きちがい的な感覚が成り立っていて、きちがい的な意地で自分がでかい音で鳴らしているということがわからない状態で、ずっと、鳴らしきる。しらばっくれている状態が普通に成り立つのだ。こんな、腹立たしいことはない。これ、やられてみればわかるけど、構造的に腹が立つことなんだよ。まあ、こういう家族と一緒に住んだことがないから、こういうきちがい的なやつらが、どういう意地で、どういう感覚で鳴らすのか、まったくわかっていないだけなのだ。実際に、やられたことがない人は、わかっていないだけなのだ。
ほんとうは、こいつらも、やられたら、そうなると思う。「人間とはそういう生き物だ」と言い切りたい気持ちがある。けど、証明はできない。証明はできないけど、たぶんそうだと思う。これようするに、やられていないだけなのだ。自分がこの世で一番きらいな音を、大音響で鳴らされて、そのあと、眠るべき時間になって、眠れなくなるということを経験したことがない人が、「自分なら平気だ」と思って、エイリのことをバカにしているだけなのだ。こんなの、ない。きちがい兄貴が、きちがい感覚で、ほかの人とはちがったことをしなければ、こんなことになっていない。
あーー。午後五時四八分か……。鳴っている感じしかしない。この部屋で、爆音で、きちがいヘビメタが鳴っている感じしかしない。こんな状態で落ち着けるわけがない。あんなきちがいの音につつまれて……囲まれて……脳みそを直接攻撃されて、時間通りに眠れるわけがない。時間通りというのは、きちがい兄貴の騒音が鳴っていなければ、だいたい、午後一一時ぐらいには普通に、眠りたくなる状態だったのだ。きちがいヘビメタ騒音が始まる前は……。だから、俺は、きちがいヘビメタ騒音が始まる小学六年生のときまでは、普通に、眠るべき時間に眠って暮らしていたのである。これは、エイリにはそういう能力があるということの証拠だ。別に、こいつらに劣っていたから、きちがいヘビメタ騒音の経験がないにもかかわらず、眠れない状態になったわけではないのだ。こんなの、ほんとう、くやしい。ほんとうに、頭にくる。