あの一日の連続が、どういうものなのか、みんな、わかっていない。
どれだけ、つらいかわかっていない。
時間が猛烈につらいのである。
時間が……。時間自体が猛烈につらい……。
あの毒騒音に囲まれた部屋で、生きるというのが、そもそも、つらいことだ。
鳴らされているあいだは、勉強ができない。
けど、「鳴らされていたって勉強ぐらいできる」と思ってるやつが、無理解ぶりを発揮したクソ発言をする。
みんな、「自分だって苦労した」「自分だって騒音ぐらいある」と言う。
けど、ちがうんだよね。ぜんぜん、ちがう。
まず、うちは、幼稚園が横にある。幼稚園児が帰ったあとも、近所の子供がきて、遊んでうるさい。幼稚園は、幼稚園児がいないときも、工事などをやっていて、うるさい。
ぼくが、小学生のころ、中学生のきちがい兄貴が、フォークギターを弾いていた。中学生のきちがい兄貴が、普通に、普通のステレオで歌謡曲を聴いていた。
この、ステレオは普通のステレオで、音量も、普通の音量だったのである。
ヘビメタ騒音は、異次元の騒音なのである。
あんな音で、鳴らす人がいない。きちがい兄貴以外、家で、あんな音で鳴らす人がいないのだ。きちがい兄貴が、度外れな音で鳴らしていた。普通の家では鳴らしてはいけない音で、きちがい兄貴が鳴らしていた。
これ、みんな、わかっていない。みんな、ちょっとうるさい音が、一時間、二時間鳴っているだけだと思ってる。
けど、ちがうんだよ。そもそも、音圧がちがう。何度も言うけど、きちがい兄貴以外、あんな音で鳴らしている人がいなかった。ぜんぜんちがうんだよ。
それを、まるで、普通レベルの騒音で、俺が文句を言っていると思っている。こいつらの理解は、そういう理解だ。「ぜんぜんちがうんだ」ということを言ったって、こいつらはこいつらで、言霊主義者のように、認めないのである。
こいつらは……俺が、『よくある普通の騒音』で文句を言っていると思っている。
「ちがうんだ」ということを、俺がどれだけ説明しても、こいつらはこいつらで、認めない。
「自分だって苦労した」「自分だって騒音ぐらいある」と言って認めない。
あとは……『そんなのは、お兄さんにちゃんと言えば、お兄さんは静かにしてくれるはずだ』というような思い込みがある。
これも、「ちがうんだ」ということをこっちが言っても、みとめないんだよぁ。
こいつらは、きちがい家族によるきちがい的な騒音……異次元の騒音を経験していないから、悠長なことを言える。
「ぜんぜんちがう」と言っているのに、こいつらはこいつらで、認めない。