「起きて、時間通りに行かなければならない」というプレッシャーが、きちがいヘビメタ騒音が続くたびに、増大するということは、ほとんどの人が、わかっていない。
まじめだと、つむように、できているのだ。
ヘビメタ騒音……家族による長時間のしつこい騒音というのは、まじめな人が、つむように、できている。
「エイリがさぼってる」とか「エイリがさぼりたいから、言い訳をしている」「エイリがさぼりたいから、ヘビメタ騒音でできないとあまえたことを言っている」と思っている人は、これがわかっていないのである。
基本、きちがいヘビメタ騒音に、午後四時から午後一一時までさらされたら、気持ちが、たいへんまずい状態になって、眠れなくなるのである。
最初は、きちがいヘビメタ騒音で、眠れなくなるのである。ヘビメタ騒音が続くので、「起きなければならない」というプレッシャーが強くなるのである。
きちがいヘビメタ騒音で(激しく興奮して)眠れなくなっているのだけど、眠れない状態が続くと「明日、ちゃんと起きなければならないから、眠らなければならない」というプレッシャー(圧力)が強くなるのである。
この圧力が、日増しに増すのである。
土日だって、鳴っている。土曜日、日曜日は、きちがい兄貴が家にいる時間が長くなるので、そのぶん、きちがいヘビメタが鳴っている時間が増えるのである。
土曜日と、日曜日も、平日と同じように、午後四時まで鳴らすなということを、どれだけ言ったって、(きちがい兄貴が)聞くわけがないのだ。
きちがいが、きちがいの基準で鳴らす。
あと、ヘビメタが好きな人には、どうでもいいことだけど、ほんとうに、心をえぐるほど、きちがいヘビメタの音が、響くのである。
あれを無視して、普通の気持ちを維持して暮らすということはできないのである。鳴らされていれば、ほんらい、眠るべき時間がきたとき、すでに、長時間、鳴らされたという影響が体(からだ)に残るのである。
これを「鳴り終わったら関係がない」と言うやつは、まったくわかっていない。
「普通の人」の「理解のレベル」というのは、こういうレベルだ。
自分だって、経験すればわかるのに、経験していないから、こういうところで、筋違いのことを言うようになる。勘違いなんだよ。
もちろん、その人にとって、一番きらいな音が、ずっと鳴っていればの話だ。ヘビメタが好きな人の場合は、たしかに、ヘビメタが鳴っているということの影響を、たいして受けないし、ヘビメタが鳴っていたということの影響もたいして受けない。
しかし、ヘビメタが好きな人だって、自分がきらいな音が、爆音でずっと鳴っていたら、腹が立つのだ。影響を、不可避的に受けるのだ。どれだけ、影響を受けないようにしても、鳴らされているから、影響を受ける。影響を受けないということができない。
耳をふさいだって、ものすごい音で鳴っているのがわかる。そういうレベルの爆音なのである。からだじゅうが、爆音で包まれている状態なのである。そんな状態が、一日に、七時間から一三時間続いて、いいけがない。眠る時間になっても、眠れない状態になる。
それを「俺だって眠れないときはある」という言葉で、同レベル化できるかというとできないのだ。毎日、きちがいヘビメタ騒音が鳴っているからだ。きちがい兄貴が、「関係がない人」として、ずっと、横の部屋で、鳴らし続けるからだ。きちがい兄貴の耳は、きちがい兄貴のヘビメタ騒音で悪くなったのである。押し入れと壁のおかげで、ぼくの耳はまもられたみたいだけど、毎日、鳴らされて、本当につらかった。
どれだけ、眠ろうと思っても眠れなくなる。本人が一番こたえているんだぞ。
それを、まるで俺がさぼっているように言いやがって……。俺がバカだから、時間に遅れるということの意味がわからず、あまえたことを言っていると思いやがって……。
こういうきちがい連中、どうにかならないのかな。こういうきちがい連中に言っておきたいのは、「起きなければならない」というプレッシャーが、増大するということだ。こっちは、ふざけているわけではなくて、真剣なのである。
こっちは、さぼっているわけではなくて、真剣なのである。まるで、わかっていない。こういうやつらの知的レベルを疑う。人格を疑う。
実際にひどい目にあって困っているわけなのだから、そんな「のんきな話」ではないのである。これ、ほんとうに、「鳴り終わったら眠れる」と思っているんだよな。こういうきちがいもどうにかならないかな。
実際にひどい目にあっているから、こまっている。実際、鳴っていると、ほんとうに勉強することができないので、宿題もできないのである。だから、宿題をしないで学校に行くということになる。それだって、こまっている。
じゃあ、ヘビメタ騒音の中でできるかというと、できない。これが、ほんとうにできないのに、ほかのやつらは、ぼくにとってヘビメタという音がどういう音なのかわかっていないので、あるいは、きちがい兄貴の意地がわかっていないので、あるいは、きちがい兄貴が鳴らしている音が、ほんとうにでかい音だということがわかっていないので……「どれだけ騒音が鳴ってたって、宿題ぐらいできる」と思っているのだ。
エイリが宿題をやりたくないから、騒音がうるさくてできなかった」と言い訳をしていると思っているのだ。こういう、きちがい、どうにかならないのか? こういうきちがいが、下種な解釈をして、俺を不愉快にさせるのである。
* * *
まるで俺がさぼっているように言いやがって、ゆるせない。ゆるせない。ゆるせない。
あーー。ほんとうに、ヘビメタ騒音と世間の常識にはさまれて、くるしかった。くるしいだけの人生だった。