やっぱり、きちがいヘビメタがはじまったときに、すべてが終わっているんだな。
どれだけ、努力しても、くるしいだけだった。
これ、みんな、けっきょく、きちがいヘビメタ生活というのがないんだよな。みんな、けっきょく、経験してない。経験してないから、いろいろなことが言える。
そして、それが全部、マトずれなんだよ。
ほんとうに、全部、マトはずれなんだよ。
これ、言いようがないな。どれだけ言ったって、相手はわからないのだから。マトはずれなだけなら、それでいいけど、ちがうんだよな。屈辱がある。まちがった理由についてのべている。誤解をしている。
自分が、盲腸で腹がいたくていたくて、たおれてもだえていたとする。そとの道でたおれたとする。そのとき、通りがかりの人が、「いたいと言うからいたくなる」と言って、通りすぎて行ってしまったとする。「いたい」といったから、いたくなったわけではないのだ。的外れなことを言われると、腹がたつんだよ。「おまえ、ひとごとだと思って」……という気持になる。
「そんなこと、俺がヘビメタにやられているとき、くるしいなかで、どれだけ、こころみたか……」。
いろいろなことを言う人がいるけど、そんなのは、全部、こころみて、だめだったことなんだよ……。そんなのは、全部、こころみたら、もっともっと、くるしくなるようなことだったんだよ……。もっともっと、はりつめて、いろいろなトラブルがしょうじるようなことだったんだよ。
「私は、それでうまくいった」「私はそれで成功した」……。
そりゃ、きちがい家族と一緒に住んでないからでしょ。
きちがい家族が、勝手に動いて、こまるということを経験してないからでしょ。きちがい家族というのは、きちがい的な脳みそを搭載しているから、きちがいなんだよ。ずっと、そういう脳みそを搭載して生きているんだよ。
「おわらない……」「おわらない……」「ずっとつづく……」。
ずっと続いたことがない人が、言っていることなんだよ。そういう生活が何十年も続いたことがない人が、言っていることなんだよ。ちがうんだよ。
ほんとうに、全部が全部、「おまえ、ほんとうに、きちがい家族がどういう影響をあたえるか、まったくまったく、わかってないな」と言いたくなることなんだよ。
マトはずれなんだよ。
もっとくるしくなるようなことなんだよ。
有害なことなんだよ。無害じゃなくて有害なことなんだよ。
まあ、まったくなにも、わかってない子供が、勝手に言ってると思ってゆるしてやるしかないか。悪意はないんだからな。
* * *
Aさんが急に、盲腸になってくるしんでいたとする。そして、「いたい」と言ったとする。Bさんが通りかかって「いたいと言ったからいたくなった」「いたくないと言えばいたくない」と言ったとする。
Bさんは、Aさんのいたみについて誤解をしている。
Aさんは、盲腸『で』いたいと感じている。言ったからじゃない。盲腸でいたいと感じているから、いたくないと言っても、いたさが消えない。
原因を取り除かなければ、いたさが消えない。一時的に神経をマヒさせる方法もあるけど、それでは、問題が解決しない。
誤解しているだけなのに、勝ち誇ったようにそういうことを言う。「言霊は絶対だ」「言霊は、絶対に正しい」と言う。わかってないだけだろ。勘違い、するな。
そして、たとえば、Bさんが、バックドロップをくらっとしよう。Cさんが、Bさんにバックドロップというプロレスの技をかけたとする。その場合、Bさんが「いたい」と言ったとしよう。
バックドロップ『で』いたくなっている。
「いたい」と言ったから、いたくなっているわけではない。
自分の場合は、そういうことに、疑問をもたないのである。いたくなった理由がはっきりしているからだ。自分の文脈の中で、いたくなった理由がはっきりしていることに関しては、いたくなったあと「いたい」と言ったから、いたくなったとは考えないのである。
自分のことなら、そういうふうに、言霊的な思考をしてない。
首を床に打ちつけるまえに、「いたい」と言って、「いたい」と言ったから、「いたくなった」わけではないのである。首を床に打ちつけて、首がいたくなったあと、「いたい」と言っている。