適切範囲要求と超過範囲要求があるとする。基本的には、超過範囲要求は、不適切範囲要求と言い換えることができる。会社に入った場合、上下関係があることが多い。
上下関係に対する考え方はちがうけど、目上の人は、目下の人に向かって、命令することができるというのが、上下関係の中に含まれている。
どこまでが適切な要求範囲であり、どこまでが不適切な要求範囲であるかということについては、人それぞれに基準があり、あいまいなところがある。
ようするに、社会で統一した適切範囲要求と、社会で統一した不適切範囲要求があるわけではないのだ。
しかし、「ここまでは妥当な要求だ」というようないちおうの範囲を、法律が定めている場合もある。しかし、それが厳密に守られることは、むしろ、少なく、ある程度の幅があることになっている。ようするに、会社によるばらつきが大きいし、個人による「ばらつき」が大きいのである。
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実際には、会社のような場所では、上下関係がある状態で、努力をするのが、常態なのである。つまり、普通の状態なのである。なので、ほんとうは「努力をすれば成功する」という言葉は、上下関係がある場合についても、当然に成り立たなければならない。
そして、「人がどう思うか気にする必要がない」という方も、現実社会においては、上下関係が存在している場合が多いのである。
そして、「人がどう思うか気にする必要がない」という考え方のほうが「上司の評価を気にする必要がない」という考え方よりも範囲が大きい。
ようするに、「上司の評価を気にする必要がない」という考え方の集合は、「人がどう思うか気にする必要がない」という考え方の集合に包括されている。「人がどう思うか気にする必要がない」という集合のなかに「上司の評価を気にする必要がない」という考え方の集合がはいっている。上司のほうが、部分集合。
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「不適切な要求」にこたえて、がんばって努力して、不適切だと思う仕事をやったとして、むくわれるかどうかということについて考えてみよう。
不適切な「超過範囲要求」をがんばってやったとしても、むくわれない場合がある。その場合は、努力したのにむくわれなかったということになる。
「努力をすれば成功する」というのは、努力をすれば成功するはずなのだから、むくわれるはずなのである。
けっきょく、「努力をすれば成功する」というのは、現実を無視した「クソ理論」なのである。まず、第一に一〇〇%詐欺が行われているということに、気がつかなければならない。話は、それからだ。