ライフハックの文言を考えた場合、まず、ライフハックの文言というのは、どういう場合でも成り立つことになっている。ようするに、言われたほうの条件がどのような条件であったとしても、ライフハックの方法が有効に機能するということになっているのである。
そして、ライフハックを口にする人たちは、他人の条件を無視してしまう傾向がある。
「そんなのは、関係がない」と本気で思っているのである。このライフハックの文言が、そもそも、条件を無視した言い方になっているし、ライフハックの文言を口にする人は、みんな、そろって、条件を無視するのである。ライフハックの文言を一〇〇%信じているということは、どんな条件でもその文言が成り立つということを信じているということになるからだ。
ともかく、ライフハックをはやらせた場合、ライフハックを口にする人たちと、条件が悪い人が仲たがいすることになる。
ライフハックをはやらせた場合、「仲たがい」させることに、成功する。
いままで、ライフハックを口されて、いやな思いをするほうのことを話してきたけど、今度は、ライフハックを口にして、おこってしまう人のことを話そう。
基本、自分のライフハックは正しいと思っているので、理論的に間違っているということを言われると、腹が立つのである。たとえば、言霊主義者は、言えば、言ったことが現実化すると考えているので、「元気だと言えば元気になる」というライフハックが正しいものだと考えている。
元気がなさそうな人に、「元気だと言えば、元気になる」と言うことは、親切なことで、よいことなのである。自分のライフハックが正しいと思っている人のことを、ライフハック信者と呼ぶことにする。ライフハック信者は、自分の良心に従って、人を助けるために、ライフハックを、こまっている人に教えてやったのである。
これが、ライフハック信者側の、自己認識なのである。
だから、そもそも、助言をされたほうが、「その助言は役に立たない」ということを言ってくるということが、あんまり、頭の中にない。
「その助言は役に立たない」ということを言われた場合、「やり方が悪かったんだ」と助言をされたほうのせいにするのである。
どれだけ、そのライフハック信者が、普段「すべては自己責任」などと言っていても、けっきょく、現実的な場面では、「ひとのせい」にするのである。これは、重要なことだ。
まあ、「すべては自己責任」と考えていないライフハック信者もいるので、この話は、「すべては自己責任」だと考えるライフハック信者にのみ、適応できる話だ。
ほんとうは、たいていのライフハックには、法則性詐欺、一〇〇%詐欺、非・一意詐欺が成り立っている。だから、本質的に間違っているのだ。そして、言及されないにしろ、間違った前提でものを言っているのは、たしかなのだ。
背後に間違った前提があり、その間違った前提をもとにしたライフハック(命題)を口にするわけだから、そのライフハック(命題)は間違っている。
けど、ライフハック信者が、自分のライフハック(命題)が間違っているということを、認めることは、ほとんどの場合、ない。
ほとんどの、ライフハックを口にする人が、「なんだ! せっかく、いい方法を教えてやったのに、へんなことをいいやがって」とおこってしまうのだ。
ほとんどの、ライフハックを口にする人が、「なんだ! せっかく、いい方法を教えてやったのに、ネガティブなことをいいやがって」「だから、不幸なんだ」とおこってしまうのである。
これも、いろいろと、問題のある思考法なのだけど、ともかく、そういう人が多い。