たとえば、蚊に刺されることをAだとする。「かゆい」と言うことをBだとする。蚊が多いうちに住んでいる人は、Aが起こったあと、Bが起こり、Bが起こったあと、別のAが起こるということになる。
たとえば、A(1)B(1)……A(2)B(2)……A(3)B(3)……A(4)B(4)……A(5)B(5)ということが、連続的に起こったとする。括弧のなかの数字は、第何回目かを意味するとする。
その場合、言霊主義者は、言ったことが現実化するという思考のパターンがあるので、「かゆい」と言ったから、「かゆくなる」と考えてしまう。
ようするに、言霊主義者はA(1)を無視して、B(1)A(2)……B(2)A(3)……B(3)A(4)……B(4)A(5)と考えてしまうのである。言霊主義者は、最初の原因を無視して、「かゆい」と言ったことを最初の原因だと思い、以降、勘違いを繰り返していくのである。
実際に、連続して起こっていることだと、「そら、みろ! かゆいと言うからかゆくなるんだ」と言霊主義者は思ってしまうのである。連続しているから、B(1)がA(2)を引き寄せているように思えるのである。
B(1)がA(2)の原因になっていると、言霊主義者は考えてしまうのである。
しかし、B(1)は、A(1)の結果なのである。
まあ、ほんとうは、蚊に刺されることをAだとして、蚊に刺されたからかゆく感じることをBだとして、かゆいと感じたから「かゆい」と言うことをCとしたほうがよかったんだけど、それだと、ちょっと逆にわかりにくくなるかと思って、AとBだけにしておいた。
ほとんどすべての言霊主義者は、自分の身に起こったことなら、A(1)がB(1)に対応していると思うのである。
どうしてかというと、実際に、自分が蚊に刺されて、その部分がかゆくなったということを、時系列に、自分のこととして経験しているからだ。
他人のことだと、理解度が低くなるので、時系列的な出来事の順番を逆にして考えてしまうのである。
自分のことなら、たいていの場合、言霊思考にならないのだけど、他人のことだと、すぐに、言霊思考になってしまうのだ。
事柄が連続して(繰り返し)起こっている場合、言霊主義者が、上記のような説明を聞いて、納得することは、ほとんどない。たとえば「かゆいと言うから、かゆくなる。
実際に、かゆいと言っているじゃないか。実際にかゆいと言って、実際にかゆくなっている。言霊(理論)は正しい」と言って、認めないのである。たしかに、「かゆい」と言っているけど、順番がちがう。
順番のちがいは、でかい。
自分のことだと、蚊に刺されたあと、蚊に刺されたのでかゆくなったと思うのに、他人のことだと、かゆいと言うから、蚊に刺されてかゆくなったと思ってしまうのである。連続して、同種類のことが発生している場合は、特に、誤解をしてしまう。
たいていの場合、多くの言霊主義者は誤解をしているということを、認めない。