たとえば、「三秒以内に、自分の身長が一〇センチ伸びる」と言ったとしよう。
もちろん、言霊の力によって、三秒以内に、自分の身長が一〇センチ伸びることはない。
しかし、たとえば「三年以内に、自分の身長が一〇センチ伸びる」と言った場合はどうか。伸びる場合もある。そして、たとえば、「自分の身長が一〇センチ伸びる」と言った場合はどうか。伸びる場合もある。
言霊主義者というのは、たとえば「自分の身長が一〇センチ伸びる」と言ったら、実際に一〇センチ伸びた。だから、言霊(理論)は正しいと思ってしまう人たちなのだ。
これは、「言ったあと」延びただけだ。言霊の力でのびたわけではないのである。言霊の力でのびたのなら、「三秒以内に、自分の身長が一〇センチ伸びる」と言っても伸びるはずだ。
けど、伸びないのである。言霊の力でそうなったわけじゃないのに、言霊主義者が、言霊の力でそうなったと思っているだけなのである。そして、言ったあと、言った通りになったとしても、言霊理論が正しいとは言えないということがわかっていないのだ。
だから、気がつかないうちに一〇〇%詐欺をしてしまう。これ、理論的に物事を考えられないだけなのだ。
さらに言ってしまうと、自分が言っていることの意味がわかってないだけなのだ。
それだけならよいのだけど、問題なのは、「かえられないことについて、言霊でかえられる」と言い張ることなのである。
根拠は……この場合……自分は「自分の身長が一〇センチ伸びる」と言ったら、実際に伸びたということだ。これが、言ったことすべてに成り立つと思っているのだ。たまたま、言ったあと、一〇センチ伸びただけだ。
内部環境を……言うだけで……好きなようにかえられるわけではないのである。
ところが、内部環境を……言うだけで……好きなようにかえられるということを言うのだ。
蚊の脳みそだってかえられないのに、自分の内部環境を言うだけで自由にかえられるなんてことを言うわけ。まあ、内部環境という言葉は使わないけどね。
それに対応した脳内の神経ネットワークが、言うだけでつくれるかというと、つくれない。言っただけで、自分の内部環境を自由にかえられるわけではない。そして、言霊主義者だって、それを知っている。言霊主義者だって、自分の内部環境を自由にかえられるわけではないということを知っている。
だから、「いつか」という言葉でごまかして、時間をかせぎ、成長を待たなければならないのだ。成長は、体(からだ)のしくみによって発現するのである。ところが、自分が言ったから、こうなったと、原因をごまかして、理解してしまう。
けっきょく、誤解をしているだけなんだよ。