たとえば、若い女性社員の上司が、若い女性社員になんかの成果物を要求したとする。
言霊理論が正しければ、上司が「こういうものができあがる」と言えば、それで、すんじゃうんだよ。
「一秒以内に、理想通りの成果物ができあがる」と、ひとこと、言えば、それで、理想通りの成果物ができあがるので、それで、すむ。
ところが、言っただけでは、成果物なんてできあがらない。
だから、部下である女性社員に「これこれ、こういうものをつくれ」と命令する。命令通りに、女性社員が「これこれ、こういうものをつくった」とする。女性社員も、言霊理論が正しければ、言っただけで「これこ、こういうものをつくる」ことができるのだ。
けど、言っただけだと、言っただけになってしまう。女性社員が「これこれこういうものが、できあがる」と言ったとしよう。
言霊理論が正しければ、これこれこういうものが、できあがるのである。
ところが、言霊の「魔法の力」なんてないから、できあがらないのである。
だから、女性社員は、上司が言った意図をくみとって、自分なりに「これこれこういうもの」をつくろうとする。実際に、女性社員が、自分のからだを動かしてつくらないと、つくることができないのだ。
これだけで、もう、言霊理論がまちがっているということが、証明できる。
「言えば、言ったことが、現実化する」というのは、「一〇〇%の言ったことが、言霊の力によって、一〇〇%の確率で、現実化する」ということだから、言っただけで、これこれこういうものが、できあがらなければならない。
ところが、みんな、そんな、魔法は使えない。
使えないのである。
言霊の「魔法」は使えない。
使えないから、自分のカラダを動かして、「これこれこういうもの」をつくらなければならないのである。そして、女性社員が、「これこれこういうもの」をつくったとする。
そして、上司に提出したとする。
そうすると、上司が、「これじゃない」と言うのである。これは、自分が要求した「これこれこういうもの」じゃないと言うのだ。だから、女性社員は、また、つくりなおさなければならなくなる。
こんなことは、言霊理論が正しいなら、起こらない。
そもそも、女性社員は、そんな仕事をする必要がない。
上司が、「これこれこういうもの」ができあがるとひとこと言ってしまえば、それで、実際に「これこれこういうもの」ができあがるからだ。
その成果物が、上司に提出するだけの成果物でなくて、クライアントにじかに渡す成果物だったとしよう。その場合、じつは、クライアントが「これこれこういうものができあがる」と言えば、それで、できあがってしまうので、上司の仕事もない。
みんな、だれでも「これこれこういうものができあがる」と言えば、言った通りのものができあがるので、特に、企業が製品をつくる必要がない。
「できるできる」と言って、一所懸命になって商品をつくる必要なんてないのだ。
言ったあと、努力してつくらなければならないのであれば、言霊理論は、正しくないということになる。言っただけで、できあがるからだ。
以上のようなことを考えると、そもそも、上司が「できると言えばできる」と説教していること自体が、おかしいのだ。
* * *
言霊主義者である「ブラック社長」が、名前だけ店長に、サービス残業をさせるとき「できると言えばできる」と言って、サービス残業をおしつけているけど、それも、本来は、必要がないことだ。
ブラック社長が、名前だけ店長がやる仕事の内容を、「こういうふうになる」と、ひとこと、言ってしまえば、それで、「こういうふうになる」からだ。
ならないのであれば、言霊理論がちがっているのである。もう、言わせないでよ。
だいたい、ブラック社長が、社員の労働力を不当に搾取しようとするのは、おカネがほしいからなんだよ。ブラック社長が、どれだけ、「世のため人のため」に会社をおこしたと言っても、ほんとうは、ブラック社長は、カネがほしいだけなんだぞ。
そして、人のことは、どうでもいいから、サービス残業を人におしつけようとするんだよ。
カネがほしいだけなんだよ。
言霊理論が正しいなら、「おカネが出てくる」と言えば、おカネが出てくるんだよ。一兆円でも、一京円でも、言えば、言っただけの金額が出てくるんだよ。
けど、言っただけでは、言っただけになってしまうので、会社をおこして、おカネを儲ける必要があるんだよ。
* * *
言霊主義者のなかには、詐欺的な情報商材で儲けた人を、いい人だと崇拝している人がいる。
言霊理論が正しければ、詐欺的な情報商材なんてつくらなくても、「おカネが出てくる」とひとこと言えば、おカネが出てくるんだよ。
詐欺的な情報商材で儲けたということを知らなければ、おカネがないところからスタートして、莫大なおカネを儲けることができた「いい人」だということになる。
たとえば、詐欺的な情報商材をつくった人がAさんだとする。ある言霊主義者がBさんだとする。
そうすると、Bさんが、Aさんのことを「自由な発想ができるすごい人だ」とほめたりするのである。Bさんは、じつは、Aさんがどうやって、カネを儲けたのか、ほんとうはよく知らないのだ。「風の時代だから、自由な人が活躍できるようになる」などと言うのだ。
いやーー。知らないだけだと思うけど、Aさんは、詐欺的な情報商材で儲けただけなんだよ。
Aさんが詐欺的な情報商材で儲けなければならなくなったのも、言っただけでは、言っただけになってしまうからだ。
言霊理論が正しいなら、「おカネが出てくる」と言えば、おカネが出てくる。
別に、詐欺的な情報商材をつくって、人に売らなくても、カネなんていくらでも出てくる。
だから、実際に、詐欺的な情報商材を「がんばってがんばって」つくるということをしなくてもいいのだ。つくった詐欺的な情報商材を「がんばってがんばって」売らなくてもいいのだ。
* * *
企業が、企業の活動をしている時点で、言霊理論が現実的ではないということを意味しているのである。
言えば、言ったことが現実化するのだから、みんな、言うことで、自分の願いをかなえている。
ほしいものは、なんだって、言えば手に入るのだ。
「一秒以内に、これこれこういうものが手に入る」と言えば、手に入るのだ。手に入るという表現が問題なのであれば、「一秒以内に、これこれこういうものが、自分の前にあらわれる」と言えばいい。理想通りのものが、自分の前にあらわれる。
「自分に、あらわれたものの所有権がある」と言えば、自分にあらわれたものの所有権があることになるので、自由に使っていいということになる。別に、企業にものをつくってもらう必要なんてない。
ほしいものを、言えば、それで、ほしいものが手に入る。「一秒以内にあらわれる」と言えば、一秒以内にあらわれる。
* * *
どうして、言霊主義者は、働いているのか?
世のため、人のためか?
いや、おカネのためでしょ。おカネがほしいから、働いているんでしょ。
そして、ほんとうに、世のため人のためなのであれば、世のため人のために、言えば、すべての問題を解決することができるのだ。
「一秒以内に、すべての人の悩みが解決する」と言えば、すべての人の悩みが一秒以内に解決してしまうのである。
そして、なにも、言霊主義者だけがその能力をもっているわげはないのである。
ほとんど、すべての人が、その能力をもっている……ということになっている。
しゃべれない人に関しても、だれがしゃべれる人が「すべてのしゃべれない人がしゃべれるようになる」と言えば、言っただけで、すべてのしゃべれない人がしゃべれるようになるのである。
だから、そのあとなら、すべての人が、言霊の魔法を使えるようになる。
だったら、もう、企業で働く必要なんてないのである。お金をかせぐために働く必要なんないのである。
言霊主義者が、働いている時点で、おかしいのである。
言霊主義者が働いているなら、その言霊主義者は、「言ったって、言ったことが現実化するわけじゃない」と思っているから、働いているのである。
「こういうものが、できあがる」と言っても、言っただけでは、できあがらないので、自分のカラダを動かして、「こういうもの」という言葉で表現されたものをつくっているのである。
言霊主義者だけではなくて、みんなそうなのである。
なので、言霊主義者だけではなく、みんながみんな、ほんとうは、「言ったって、言ったことが現実化するわけじゃない」と思って行動しているのである。言霊の魔法は、使えないのである。
みんな、言霊の魔法を使えない。
だから、実際に動く必要がある。
言っただけで、そうなるなら、だれも苦労しない。
ところが、「言っただけで、そうなるんだ」ということを言うやつらがいるのである。言霊主義者だ……。嘘を言っている。しかも、嘘を言っているつもりがない。
* * *
ようするに、人が働いたり、企業がものをつくっているのは、言霊理論が正しくないということを、証明しているようなものなのだよ。
「言ったことが、言霊の力によって、現実化されない」ので、人が、働いているんだよ。おカネを儲けるためにね……。
企業が商品というものをつくっているわけだけど、これなんかも、言っただけで出てくるものであれば、つくる必要がないわけ。
だって、そうだろ。言っただけで、出てくるんだから。
個人が、個人的にほしいと思ったら、ほしいと思った時点で「これこれが、出てくる」と言えばいい。そうすると、言った内容が、言霊の力によって、現実化されるので、実際に出てくるということになる。
実際には、言った内容が、言霊の力によって、現実化されることがないから、わざわざ、買うのだ。
企業の商品を買う。
言った内容が、言霊の力によって現実化されるなら、言えば、出てくるということになる。
ほしいものは、なんでも、手に入る。手に入らないわけがない。ものだけじゃない。恋人や結婚相手だって、言えば、出てくる。言った内容が、言霊の力によって、現実化されるので、出てくるのである。
それ以外ではないのである。
もし、言霊理論が正しいのであれば、言った内容が、言霊の力によって、現実化されるので、出てくる。理想の相手と結婚して、理想の相手と、理想の結婚生活ができるのだ。もし、それをのぞむのであれば……。のぞむのであれば、言ってしまえばいい。
言ったら、言った言葉に宿っている言霊の力が、それを現実化してくれる。
そうでなければならない。
そうなると、いまの生活とは、だいぶちがった生活をしているというとになるのだ。
ところが、いまの生活というのは、たとえば、ブラック企業に務めて、くるしい労働をして、対価としておカネを得るという生活だ。そうするしかないと思っているから、そうしているのだ。
そして、「できると言えばできる」と言われて、サービス残業をおしつけられるのである。したがうかどうかは別にして、そんなふうな生活をしている。
言えば言った内容がかなう生活とは、だいぶちがうじゃないか。
「だいぶちがう」と思わないのか?
実際は、働いて生活にしているのに、「言えば言った通りになる」「言えば、言ったことが現実化する」という夢物語を信じているのか?
なんで、働いているんだ?
働いていないとしても、まったくおなじだ。言っただけで、自分の思い通りになる生活をしていないのだ。言えば、言ったことが、言霊の力によって現実化されるのだから、もちろん、言えば、言っただけで、自分が思い通りの生活ができるということになる。
言えば、いいわけだから。
自分の思い通りの生活を手に入れるには、自分の思い通りの生活について、言えばいい。言及すればいい。「こんなふうな生活になる」と、ひとこと、言えば、その通りになる。
ならないのであれば、言霊理論がまちがっているということなのである。
「できると言えばできる」「できないと言うからできない(ことになる)」……。アホらしい。
なんで、そんなことを信じている人が多いのか?
おかしいとは思わないのか?
これは、まあ、最初の一〇〇%詐欺にやられているんだよ。いろいろな、罠がしかけられているんだよ。罠にひっかかったから、「言えば、言ったことが(言霊の力によって)現実化される」という妄想を信じているだけなんだよ。
妄想ファンタジーを信じているだけなんだよ。
いろいろなトリックにひっかかって、妄想を真実だと思っているだけなんだよ。妄想を、真理だと思っているだけなんだよ。妄想だと気がつかないように、洗脳しているんだよ。妄想だと気がつかないように、洗脳されだけなんだよーー。